大江9条の会、事務局で、主に広報を担当しています、志賀です。今日はよろしくお願いします。

 大江町は、5年前の台風23号の災害で町役場が水没した町として、ご存知の方も多いと思います。その時は、観光バスが水につかりながらもバスの屋根で一夜を過ごし、全員が助かった映像が全国に流れましたが、その水没バスのところからすぐ上流の町です。

 福知山市に吸収合併となってからもうすぐ4年になります。
大江町自体も1951年(昭和26年)にそれまでの1町と5つの村が合併してできた自治体です。今でもその旧村単位での公民館活動などが盛んなところです(地域の面積は96.81平方キロ)。人口は合併直前で5500くらいでしたが、今はどうでしょう。有権者が4400~4500人くらいです。合併前から高齢化の町でしたが、合併以後もその状況はますます進んでいます。

 大江9条の会は、市に合併してから約1年後、3年前の2006年12月8日発足しました。それまでの準備会で、月1回の例会での学習会や意見交換を経て、発足集会には100人の参加を得ることができました。発足集会の様子は、資料の中の「会報」に載せているような内容です。会発足には、町内でさまざまな活動をする、元町助役や学校の先生、教会の牧師さん、画家や文化協会の会長さんなど、幅広い層の11人の代表委員さんをつくることができました。現在、500円会員が約300人の会になりました。

 発足以降、これまでの大きな取り組みとしては、
・翌年、2007年9月に「日本の青空」上映会で290人
・1周年記念集会として2007年12月に「品川正治氏の講演会」で320人
・2年目、2008年8月に「母べえ」上映会で390人、
など取り組んできました。

 これらの大きなイベントは、より参加者のすそ野を広げるために、それぞれに実行委員会を立ち上げて、できるだけ多くの方にかかわっていただける形で進めてきました。

 これらのとりくみの最大の特徴は、参加協力券の広め方にあると思っています。代表委員や事務局が参加協力券を売り歩く努力はもちろんですが、それ以外に「プレイガイド方式」で、町内の喫茶店や散髪屋さん、お酒やさんなどのお店や個人の家々にも券を置いていただき、そのお名前もビラに載せて、一つの取り組みに2~3回ずつ、町内に新聞折込しました。

 この「プレイガイド」になっていただける方々をどうして集めるか、という点です。大江9条の会では代表委員さんや事務局以外にも、できるだけ自治会単位に地域の世話人さんを作っています。自治会数は45あります。これらのすべてをクリアということにはなっていませんが、できるだけ地域の人の顔と名前がわかる人が、その地域を回っていただくということが、何をとりくむにも、大変大きな力になります。この世話人さんたちの力も借りて、「プレイガイド」として名前を出していただける方を開拓していき、その数は、多少の出入りはもちろんありますが、取り組みごとに少しずつ増えています。商売をなさっている方がその名前を出してくださることは、ある意味大変なことと思いますが、それでも、「もうチケットないから追加持ってきて」とか言っていただけるようになりました。

 地域の世話人さんたちを通じて、9条署名も広がり、現在1300筆、目標が有権者の過半数ですから、この目標から言えばまだ目標の半分を超えたところですが、全自治会単位で有権者名簿をそろえて、署名してくださった方にはチェックを入れ、どこの集落でも過半数を超えることを追求しています。現在、過半数を突破した自治会は16自治会です。昼間の駅前商店街でさえ、歩いている人はほとんど見ない町ですから、街頭での署名活動、宣伝活動などはしていません。9のつく日は統一行動日に設定して、今日はここの地区、今度はあそこの集落へ、と一軒一軒訪ねて署名を集めてきました。力持ちさんは一人で何十も集めてきてくださいました。実はこの半年ほど、統一行動もお休みで、9条署名は足踏み状態でしたが、今日、この交流会に経験発表させていただく機会を与えていただき、「手ぶらでは行けない」ということで、先日9日に久しぶりの統一行動を組みました。

 大江九条の会がもっと町民みんなの目に触れるようにと、今年になって毎月9日を中心に、9条のぼりを、町内10カ所に掲げる活動を始めました。3~4日掲げてはしまい、また翌月に、ということでメリハリをつけ、「今月ものぼりが出たな」と町民の方に意識してもらえるようにと思っています。11月23日は福知山マラソンの日で、そのコースのほとんどが大江町内です。毎年全国から1万人のランナーが、大江町を走ります。今年はそのコースの沿道にこの9条のぼりを立て、アピールしました。また、「憲法9条を守ろう」などと書いたタタミ1枚分の看板を現在町内4箇所にたて、近いうちに国道と線路の両方から見える町内一等地に、5メートルくらいの大看板を立てようと計画もしています。

 のぼりを作るにも、看板をつくるにも、もちろんお金が必要です。
新聞折込にもお金がかかります。当初会員を募るとき、事務局の思いは、年会費一口500円ということで会員を募りました。
しかし、現実には入会の時500円払って永久会員、になっています。で、会費だけでは活動に必要な経費は賄えないのですが、幸い、今は映画上映で少しできた蓄えで、その範囲内で活動をしています。

 映画の上映はお金をいただくことに理解が得られますが、品川正治さんの講演会をとりくんだ時は、正直、困難を予測しました。だいたいみんな、役場やPTAなどの動員で人の話を聞きに行くことはあっても、「頼まれて聞きに行くのに、その上お金も払う」なんていう経験がありません。こちらも「頼むから来てください、しかもお金も下さい」といった経験がありません。しかし、品川さんの話はぜひ聞いてほしい、こんな田舎に来てくださるのだからなんとしても成功させたい、ということでみんな大いにがんばり、最後には壇上に飾った花まで買ってもらって財政的には収支トントンでした。当日は予定時間が大幅に伸びてしっかり2時間の講演をしていただき、会場はその2時間、シーンと静まり返っていました。感想用紙には、「難しいお話を大変よくわかるように話してくださって、聞きに来てよかった」と多くの方が書いてくださり、「値打ちのある話にはお金も出す」経験ができ、これは今後にも生かしていけると考えています。

 活動を続ければやがて蓄えもそこを尽きます。経常的に活動を支える財政活動として、9条バッチをつくって普及、桐の木を糸鋸で切り抜いて作成、イベント毎に販売しています。資料につけていますような大きな取り組みごとの他にも、町内の方々から、憲法への思いや戦争への思いなどを書いていただき、全戸ビラにして、実名で町内のみなさんにアピールもしています。どこかの知らない人の訴えより、「あそこのあの人」の思いに触れることで、9条や平和への思いをより深くしていただけると思っています。また会報は、先ほど紹介しました各地域の世話人さんを通じて、手配りしていただいています。一軒一軒家の離れた田舎ことですから配っていただくのも一苦労です。できるだけ足を運び、顔を見て一言でもしゃべっていく、こういう顔の見える活動を大事にしていきたいと思っています。

 といいながらも、実はこの数ヵ月、会報も全戸ビラも発行がお休みになっています。今日の渡辺先生の講演も聞いて、今の情勢をのなかできっと今が大いに活動を展開すべき時なんだと感じました。今日の交流集会を機会に、再度ねじを巻きなおし、地道にコツコツ、そして元気に活動していく決意を述べまして、あまり参考にならなかったかも知れませんが、大江からの報告とさせていただきます。ありがとうございました。

憲法9条京都の会 事務局