⇒ PDF版ダウンロード 最近の改憲をめぐる動き(1)

自民党・民主党を中心にして、大震災・原発事故を口実に、また、来年4月28日「サンフランシスコ講和条約締結60周年」を、改憲へのあらた一歩としようとする動きが相次いでいる。

(1)「3・11」以前の主な動き

  • 国民投票法の施行(2010.5施行 民主も同意)
  • 憲法円卓会議(2010.5.20)
    中山太郎(自民党改憲派の中心人物)が、民主党幹部とはかって、「真の憲法論議を蘇生するために」として開く(辻元清美・元社民党も参加)
  • 自民党憲法改正案を来年4・28(サンフランシスコ講和条約締結60周年)を期にまとめると表明(2011.2 谷垣自民党総裁)
  • 「安保防衛懇」報告(2011.8)
    集団的自衛権行使の禁止、武器輸出三原則、「PKO参加五原則」、「非核三原則」などの見直し提言・表明

(2)「3・11」以降の主な動き

  • 新憲法制定議員同盟(民主・自民・公明など)の大会(2011.4.28)
    「この災害は一地方の問題ではなく、国家的災害である。この復興を新しい国づくりの第一歩と位置づける必要があり。新しい国づくりの理念は憲法に盛り込まれるべきものであり、新しい憲法の理念に基づいて、新しい国づくりが勧められる必要がある」(大会決議)
    中曽根康弘会長(元首相)は、この大会で「サンフランシスコ講和条約60年、憲法だけ変わっていないのは怠け者ではないかと子孫から言われる」
  • 参議院憲法審査会規定を強行(2011.5)
    衆・参で、改憲議論を進める条件が整う
  • 「憲法96条改正をめざす議員連盟」発足総会(2011.6.7)
    民主・自民・みんなの党など100名で結成。「憲法96条の改正にかかわる国会の発議要件を現行の「2/3から過半数に引下げることを目的」としたもの(9条改憲への迂回作戦)。
  • 保利耕輔・自民党憲法改正推進本部長は「憲法9条がそのまま残っているというのは占領下の連合国側の考え方に基づく。真の独立国になったこの日(サ条約締結の日)を機会に憲法改正をしっかりやろうじゃないかという考え方がわが党の考え方だ」(2011.6.13、都内の自民党議員の会合)
  • 自民党の石破茂政調会長(7.30発売の新著のあとがき)
    「少なくとも改憲を党是とし、集団的自衛権の行使を公約として掲げる自民党はそうであらねばなりません。そうでなければ自民党の存在意義などないに等しいとすら私は思います」
  • 「創生日本」(最高顧問・平沼赳夫、会長・安倍晋三 自民党と「たちあがれ日本」の議員などでつくる政策集団)が運動方針発表(2011.7.19)
    「憲法改正に向けた国民的な議論を喚起する、特に改正発議への障壁を除くために、先ず憲法96条の改正に向けた運動を推進する」
  • 報告書「日本再興」を発表(2011.7.20)
    自民党国家戦略本部(本部長:谷垣総裁)は、改憲を中軸とした新綱領(2010年改定)に基づく中長期政策の方向性をとりまとめ、東日本大震災への対応を口実に、武力攻撃を含む緊急事態に対応可能な憲法を整備する(改憲)ことが必要と強調。
  • 小沢鋭仁元環境相(民主党)が政策提言(2011.7.27発表)
    「改正要件(憲法第96条)を緩和するための憲法改正の是非を慎重に検討する」と盛り込む。小沢(鋭)氏は、民主、自民両党を中心に旗揚げ(6月)した憲法96条改正議連の民主党側代表。
憲法9条京都の会 事務局