平和な未来への「決意」固めあう
「九条の会」講演会に2000人
「九条の会」の発足7周年を記念する講演会は6月4日、東京千代田区の日比谷公会堂で開かれ、全国から会場を埋めつくす2000人が参加しました。東日本大震災と福島原発事故直後という重大な情勢のなかで、岩手、宮城、福島の被災県からも参加者を迎えて開かれたこの講演会では、「未来世代にのこすもの――私たちは何を『決意』したか」のサブタイトルも掲げられ、憲法にもとづく復興と原発からの全面撤退を求める声があいつぎました。
講演会では、4人のよびかけ人が講演。哲学者の鶴見俊輔さんは、「後退を許さない文明」の在り方に疑問を呈し、「大国になったつもりで文明の進歩をひたすら信じつづけてきた日本国民は、日米戦争に敗北してもなお目をそらしてきた根本の問題に直面している」と語りました。
作家の澤地久枝さんは、福島原発の事故で、核の暴走を止める技術がないことが明らかになった、未来を担う子どものために核の暴走を止めるため、世直しが必要と述と述べ、「そのよりどころが9条をはじめとする憲法」だと訴えました。
憲法研究者の奥平康弘さんは、憲法9条の戦力不保持の規定に関する解釈のねじまげが積み重ねられ、自衛隊や核兵器の保持まで認めるにいたったこれまでの政治を厳しく批判し、「原発事故の危険性を目の前に見たいま、核兵器の禁止を対抗軸とした積極的な運動が必要だ」と強調しました。
作家の大江健三郎さんは、米国の水爆実験で第五福竜丸が被爆した翌年の1955年に原子力基本法が成立された経過を述べ、「(原発を)作らないという方向の法律を作ることもできたはずだが、逆の道を歩み、その行き着く先が今回の原発事故」となったことを指摘し、「(原発に)はっきりノーという、平和を作り出す決意を確かめよう」とよびかけました。
4人のメッセージ文も配布
なお、4氏が、「九条の会」7周年への想いも込めて発表したメッセージを、この講演会のプログラムに掲載して参加者全員に配布されました(別項)。
参加者は、よびかけ人の講演に真剣に耳を傾け、時には熱烈な共感の拍手をおくりました。また、講演の途中には、風呂本佳苗さんのピアノ伴奏で松野迅さんのヴァイオリン演奏を楽しみました。
事務局からの訴え
講演会の最後に小森陽一事務局長が、第4回全国交流集会に向けた次の訴えをおこないました。
11月19日、第4回全国交流集会が開かれます。
重大な情勢のなかで、全国が一堂に会し、より広い視野でお互いの経験をに豊かに交流する場にしましょう。そのため、
(1)ねばり強く継続的に、
憲法についての学習や話し合いをおこないましょう。
(2)文字どおり、考え方や支持する政党等の違いを超えて
「会」の輪を大きく広げる創意をこらした取り組みを強めましょう。
【参照先】 「九条の会」ニュース 2011年6月8日第148号