1月15日 KBC京都放送会議室、
講師亀井励氏(元京都新聞編集局次長)

(配布資料)「日本とソビエト、ロシア年表 シベリア抑留、北方領土」
2011.1.15 隅井孝雄作成

1月15日ロシアについ語り合う会合が開かれ20人が熱心に話し合いをおこないました。
ロシアとはいまだに平和条約が結ばれていません。そして北方領土をめぐっての交渉も中断されたままです。その上昨年暮れ、メドベージェフ大統領が北方領土を視察、二島返還も事実上撤回するなどの動きがありました。一方シベリア抑留問題は、民主党政権のもとで抑留者に給付金が支払われましたが、これで終わりにするとでもいうような流れになっています。

講師の亀井さんは京都シベリア抑留者遺族の会の会長を務め、昨年9月にはクラスノヤルスクでの日本文化フェスティバルに参加するなど、ロシアの事情には詳しい方です。

亀井さんは冒頭、抑留者特別措置法が成立した経過を説明、京都では22の遺骨が判明したものの、DNA鑑定の仕様もなく、政府はこれですべて終わりにしようとしていると語りました。北方領土については、1990年代の初め、社会主義崩壊の後すっかり貧しい国になったロシアは、日本の援助に期待を寄せて、領土問題も進展を見せた。しかし今やロシアも豊かになり、日本に依存する度合いも減少したことから、むしろ資源開発に力を入れている、と説明しました。

亀井さんの今回のシベリア訪問は抑留問題を描いた童話「シベリア抑留って」(文章は亀井さんが執筆)の原画展に参加することが目的でした。またシベリア抑留を描いた舞台劇「シベリアに桜咲くとき」も日ロ両国の俳優によって演じられ、参加者たちの共感を呼びました。こうした様子を亀井さんは写真をスクリーンに映して説明し、原画展に寄せたロシアの学生たちの感想文も披露しました。

討論ではハルビンから逃れて帰国した人々の体験、存在すら否定されてしまった満蒙開拓の民間人などが語られ、戦争体験を語り継ぐ重要さを改めて確認しました。また関東軍がソ連と取引したことがシベリア抑留の引き金となったという指摘も出ました。

ロシアと対等に向き合って、平和条約を結ぶ、北方領土に結論を出す、そして新しい日ロ親善への一歩を踏みだす必要があることが痛感された会合でした。

「京都ジャーナリスト9条の会」会報No.8(2011年2月8日)

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