自民党が「憲法改正推進本部」を設置

 2009年12月、自民党があらたに「憲法改正推進本部」を設置して改憲へ向けた活動を始めた。同本部は2005年に「新憲法草案」をまとめた「新憲法制定推進本部」を改組したもので、総裁直属の機関。谷垣総裁は「これからの党の旗印として、この問題を眠らせることなく前に進めていきたい」として、改憲問題を「政権奪取」戦略の柱にする立場を表明。「新憲法草案」の検討とともに現行憲法の逐条的な検討を開始している。本部長は堀耕輔氏(教育基本法改定時の与党プロジェクト座長)。本部長代理は与謝野馨前財務相(「新憲法草案」起草委員会事務総長)と舛添要一厚労相(同事務局長)、事務局長は中谷元元防衛庁長官。最高顧問には、麻生太郎・安倍晋三・福田康夫・森喜朗と首相経験者がズラリ。

 一方、自民・民主、公明、国民新各党の改憲派議員でつくる新憲法制定議員同盟(会長・中曽根康弘元首相)は、活動再開の見通しが立たない状態。顧問を務める鳩山由紀夫首相はいまだ「退会届」を出していない。


国会法改定 通常国会冒頭に提出へ

 与党3党は、官僚の国会答弁禁止などを柱とする国会法改定を1月18日から始まる通常国会冒頭で提出することで合意。来年度本予算審議から改定後の新ルールを適用することまで議論されている。

 憲法は、「内閣は、行政権の行使について国会に対し連帯して責任を負う」(66条)とされ、行政監督は国会の重要な機能。ところが与党の「国会改革」案のように、行政の実態をもっともよく知る官僚の答弁を禁止することは、この機能を発揮するうえで重大な障害をつくりだすことになる。

 特に、民主党が「法制局長官も官僚だ」(小澤一郎幹事長)として、内閣法制局長の答弁禁止を打ち出しているのは重大。内閣法制局長官は、内閣の憲法解釈を担当し、自衛隊を「合憲」と認め、違憲の海外派兵を合理化する解釈改憲を重ねる一方、「海外での武力行使」は禁止されているとの一線を越えることはできなかった。内閣法制局長官の答弁金は「政治主導」の名の下で時の政府・政権が憲法解釈を自由勝手に変え、自衛隊の海外での公然たる武力行使を「合憲化」することにつながる危険な動き。

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憲法9条京都の会