憲法9条京都の会は、3月14日、世話人会の議論をへて3月アピールを出しました。
新署名に取り組むうえで、新コロナウイルス感染問題や東京高検検事長の定年延長問題など、安倍政権の危険性をあらためて訴えていくことが大切になっています。
この3月アピールを大いに活用下さい。

(追記) 全国市民アクションは、3月19日、現在開会中の国会に3000万署名を提出します。
それにむけ、憲法9条京都の会は、この間の集約分11,047筆を送付しました。
これまでに、今回を含め105,839筆を国会に提出しました。

【憲法9条京都の会・3月アピール】ダウンロード:ワード版 PDF版
憲法や法律を踏みにじる安倍政権、この政権の下での改憲を絶対に許さない!

春を迎える時分ですが、新型コロナウイルス感染拡大問題で日本社会は、暗い雰囲気で覆われています。本来、人々の不要な不安を取り除くのが政府の役割ですが、安倍政権が行ってきた大規模イベントの開催自粛要請、全国の小中高・特別支援学校に対する一律休校要請などは、かえって人々の不安を高めています。しかもこれらは、専門家の意見も聞かず、法的根拠も示さず、十分な準備もないなかで行われてきました。経済に与える極めて深刻なダメージも明らかになってきています。

3月13日に成立した「新型コロナウイルス対策のための特措法」は、このような安倍政権の迷走・暴走に拍車をかけるものだけに、慎重な審議が必要でした。この法律は、2012年の民主党政権下でつくられた「新型インフルエンザ等特別措置法」を改正して、新型コロナウイルスにも対応しようというものです。この法律では、新型インフルエンザ等で「全国的かつ急速なまん延により国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼし、又はそのおそれがある」という極めてあいまいな要件で、内閣総理大臣は「緊急事態宣言」を出せることになっています。「緊急事態宣言」が出されると、都道府県知事に規制権限が与えられ、たとえば知事は住民に「不要不急な外出はしないで」「感染防止のために必要な協力をして」といった要請ができます。さらには、学校等の施設の使用や施設を使っての催物の開催の制限・停止の指示もできます。それゆえ、憲法で保障されている移動の自由(22条1項)や表現・集会の自由(21条1項)を侵害しかねないのです。また、「緊急事態宣言」下では、NHKなどは指定公共機関とされ、内閣総理大臣の総合調整に服するため、政府発表だけしか国民に知らされないという事態が想定されます。
安倍政権は、今回の場当たり的な対応のみならず、「モリ・カケ」問題や「桜を見る会」問題で明らかなように、憲法や法律を踏みにじり嘘と隠ぺいをつづける政権です。このような政権だけに、国民に不安が広がるなかで求心力を得ようと、「緊急事態宣言」を発する現実的可能性があります。危険すぎはしないでしょうか。自民党内からは、この機にと緊急事態条項を憲法に盛り込むべきとの改憲論も出ています。コロナウイルスに乗じた、これらの問題の危険性を急いで訴えていく必要があります。

もう一つ重大なのが、安倍政権が東京高検の黒川弘務検事長の定年延長を閣議で決めた問題です。検察庁法では、検事総長を除くすべての検察官の定年を63歳と定めています。他方、国家公務員法には、1981年の改正で例外的に定年延長を認める規定が設けられました。この改正時の国会での議論では、検察官には国家公務員法は適用されない、というものでした。ところが安倍首相は、2月13日の衆議院本会議で「今般、……検察官の勤務延長については、国家公務員法の規定が適用されると解釈する」として、法解釈の変更を一方的に宣言しました。法律を制定・改正するのは国会の権限です。その国会で論じられ定着していた解釈を、行政権を担う内閣総理大臣が一方的に変更するなど、憲法の定める三権分立の原理を侵すものです。どうしても必要なら、国会が検察庁法を改正するべきなのです。
そもそも日本国憲法下の司法制度は、戦前の拷問など人権無視の取り調べや裁判に対する反省に立ってつくられてきました。その一環として、ときに政治家の捜査・起訴も行う検察官については、政治権力からの独立性をはかるため、行政官ではあるが一般公務員とは異なる特別な存在として、公務員法とは異なる特別法として検察庁法がつくられたのです。残念ながら、安倍政権にはこのような法の趣旨や制度の沿革に対する理解が全く見られません。政権に近いとされる黒川検事長を厚遇し、政権に対する追求を封じようというのであれば、まさに独裁国家です。ここでも、憲法や法律が踏みにじられようとしています。

このような政権によって、国家の最高法である憲法が変えられるなど、断じてあってはなりません。3月開催予定だった自民党大会は延期となりましたが、その「2020年運動方針」案には、「みんなが輝く令和の国づくり」と題し、「新たな時代にふさわしい憲法へ」として、「改正原案の国会発議に向けた環境を整えるべく力を尽くす」とあります。安倍政権・自民党は決して改憲をあきらめていません。私たちとしても、「改憲発議に反対する全国緊急署名」などを通じて、この政権の危険性を訴えながら、日本国憲法の価値を語っていきましょう。

2020年3月14日 
憲法9条京都の会